「はぁ」ため息をつきながら重い脚を進める。
朝があまり得意でない私は、テンションの低いまま、毎週通っている就労移行支援事業所に向かっている。
就労移行支援事業所は、私にとってとても狭い島の様な所だった。
やれることも限られているし、景色も毎日変わらない。
だがそれも当たり前なのかもしれない。
今まではその狭い島よりももっと狭い家に引きこもる高校生時代を送っていたのだから、私が人生を前に進める為にはちょうど良い場所なのだろう。
そんな事を考えているうちに目的地に着いた。
街中にある小さなビルの中には、20代もいれば40代以上に見える人もいる。
見える人もいるという表現を使ったのは、私がほとんど周りと話していなくて、推測でしかないからだ。
扉を開け「おはようございます」そう一言言っていつもの私の居場所に向かう。
私の居場所は、事業所の端の目線を遮られる場所にある。
私が人の多い所が苦手なのを知って、その場所を用意してくれたのだ。
その場所は落ち着くと同時に、せっかく家から出ているのにこんな狭い場所に引きこもっていていいんだろうかと不安になる事もあった。
少し離れた場所には、複数人で使うテーブルがあってそこはいつも賑やかだった。
そこに混ざりたいと思っても、今担当者が決まっていて、その人意外とは話せない私には、到底無理な願いだった。
努力すれば、もしかしたら叶う願いでも、努力してまで叶えようとは思わない、それが私の人生を通しての課題だったのかもしれない。
一日の流れは簡単で、エクセルの勉強をして日報を書く、その繰り返しがどう就職に繋がるのか、私はいつまでも分からなくて、暗闇を進んでいるようだった。
精神的に落ち込んだり、朝眠かったり、嫌な事は一杯思いつくが、あまり今の人生で楽しい事は思いつかない。
そんな状態が小学生の高学年から続く私にとって、未知の”仕事”というものは不安であると同時に唯一の希望だった。
そんな私の転機はある日いつものように、自分の居場所に座っている時に声を掛けられ見た一部の資料だった。
続く
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私がこの体験談で通っていた事業所とは別の場所ですが、就労移行支援事業所を紹介します。
ほとんどの人が無料で通えて、就職への第一歩になる場所ですので、ぜひ下記バナーから見学に行ってみてくださいね。
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